創ると使うを最短で繋ぐ街創り。日本で一番電気代が安い街を目指すエネファントの挑戦。

岐阜県多治見市に本社を構える株式会社エネファント。地産地消を目指す地域のエネルギーベンチャーとして「ソーラーチャージャー付きのカーポート無料設置」「企業向けに従業員へのEV車貸出」などユニークな事業を展開しています。代表の磯﨑さんに起業のきっかけや今後について伺いました。
磯﨑 顕三さん
株式会社エネファント代表取締役

大学時代に太陽エネルギーの大きさに衝撃を受け、太陽光発電事業を展開する株式会社エネファントを起業。

「創ると使うを最短で繋ぐ街創り」をコンセプトに「たじみ電力」「働こCAR」など数々の事業を創出している。

電気を創る、蓄える、使うを軸に展開する太陽光発電事業

事業内容について伺ってもよろしいですか?

我々は「創ると使うを最短で繋ぐ街創り」をコンセプトに地域のエネルギー事業を展開しています。エネファントの事業は3つの「創る」「蓄える」「使う」概念で成り立っています。

「創る」ですと具体的にはどのような内容でしょうか?

住宅用、産業用の太陽光発電システム販売や発電所の建設です。他にもソーラーチャージャー付きカーポートの無料設置は地域の企業様にご好評いただいてます。

引用:エネファント様会社資料より

地域でエネルギーを創ろうとした時に、場所が必要になりますよね。
家や工場の屋根を使えればいいのですが、工場の屋根が古かったり寿命が原因で選別する作業が実は大変です。そこで、屋根よりも駐車場だと考え、ソーラーチャージャー付きのカーポート設置に踏み切りました。地方には共通して大きい駐車場があり、当然ながら何かしらの目的があって車を停めているわけで、高確率で電力事業に隣接しています。かつ地域のエネルギーは、ガソリンを消費して車で移動する割合も多いわけです。

再生可能エネルギーを電気自動車の充電にあてがうことで、再エネを上手に地域に浸透させていく考え方で、カーポートの設置を行っています。

災害時の電源確保にも利用出来ると伺いました。

地域の非常用電源としても活用出来ます。通常時と非常時の使い方を分けて、300世帯に一つを目安にたくさん作っていくつもりです。

「使う」事業にはどんなものがありますか?

たじみ電力が「使う」事業に該当します。
我々の地元である多治見市を「日本で一番電気代の安い街にする」目的でたじみ電力を運営しています。

地元で我々のたじみ電力の電気を扱っていただくお客さんが増えることで、地域エネルギー最適化のためのシステムを進めています。

「蓄える」事業についても伺ってよろしいですか?

企業向けに展開しているレンタカー事業「働こCAR」に取り組んでいます。地域から人が減っている問題を解決しようとする事業です。

どの地方にも共通している課題として、人口減少と都市部への人口流出が挙げられます。「どうやったら人が集まるか?」の課題に対して「暮らしに必要不可決な車を用意したらどうだろうか?」と考えました。若者を雇用する企業と我々が組み、従業員への福利厚生として格安でEV車をレンタルする仕組みになります。

引用:エネファント様会社資料より

地域エネルギーの創ると使う部分を上手に調整しながら、持続可能な街を目指しています。

太陽エネルギーの大きさに衝撃を受け、起業

引用:エネファント様会社資料より

太陽光の事業を選択した理由を聞きしてもよろしいでしょうか?

太陽エネルギーの大きさに衝撃を受けたのがきっかけになってます。
太陽が地球に送ってくる1時間のエネルギーで、全人類が消費するエネルギー1年分と聞いた事があります。この話を聞いて、太陽が地球に送ってくるエネルギーを最短で繋いであげれば、社会の抱える問題のいくつかを解決出来る、と思ったんです。
太陽のエネルギーを人類の暮らしへ上手に取り込めるように、ビジネスモデルを考えながら事業をやっている感覚です。

今まで会社を経営されていく中で最大の転換点はなんでしたか?

最初に入社したメンバー、つまりはナンバー2が辞めた時ですかね。
そのメンバーは24歳ぐらいで入社して30歳目前で「そろそろ安定した仕事に就きたい」と言って退職しました。

当時の僕は理屈よりも、頑張ればいいって思ってたんですよね。20代は「気合」「根性」「情熱」でいいのかなと思ってました。僕の考えで周りの人たちを傷つけたのかもしれませんし、当時は人が集まれば勝手にいい会社になるぐらいの乱暴な考え方だったんです。

30歳目前で現実を突き付けてもらったので、30歳以降はちゃんとビジネスモデルをしっかり作り上げようと思いました。今は市場があるところにビジネスモデルを持って、気合、情熱、根性をちょこっと加えながら回していくイメージでいます。

様々なアイディアはどこから湧いてくるんでしょうか?

考えようと思って考えるわけではなく「湧いてくる」が近いですね。日本で一番電気代の安い街にするんだって本気で思ってたら、真剣に考えるわけじゃないですか。

そうすると勝手に生まれて来ます。
ビジネスモデルを出そうと思ってビジネスモデルが出てくるわけではありません。どうやったら「地域で最適なエネルギーが繋げるんだろう」とひたすら考えることで生まれるのが、アイデアなんです。理念やビジョンにどれだけ向き合うかで生まれてくるのがアイディアかもしれません。

アイディアが先ではないんですね。

「なぜ?」を突き詰めると、自然と「どうやって」「何を」したらいいか出て来ます。
どんな経営者でも言いますが「会社の理念」「ミッションやビジョン」が大事で僕も同じく思います。自分が何を志すのか?さえしっかりと腹に落ちれば、他は自然とそれに繋がってくるんじゃないでしょうか。

これから当たり前にしたい事

引用:エネファント様会社資料より

これから当たり前にしたい事はなんですか?

自分達の都合でエネルギーを使ってきながら、使い方の問題に気づいた最初の世代が僕らなのかなと思っています。僕達が実現したいのは「当たり前にやっている暮らしが当たり前に回る」ことなのかもしれません。

数億年かけて地球が蓄えてきた化石燃料のエネルギーを、ここ数百年の間で消費することで、地球の暮らしに反動が来ていると考えています。
太陽の巨大なエネルギーを取り込むことで、無理のない自然なエネルギーサイクルを創り出したいです。

まずは多治見市に住む自分達が実現することで、隣の街でも出来るかもしれないし、地球の反対でも出来ると思っています。そうした考えをこの地元からしっかりと発信するのはやっていきたいですね。

多治見市や地方への愛情を感じます。

地方に眠っている可能性の大きさに気づいたんですよね。地方だと若い人がいないから気合と情熱を見せるとそれだけで感謝してもらえます。「ありがとう」が集まりやすいエリアに、自分たちの経営資源を集中していくことこそが、地域のエネルギーベンチャーかなと思います。

経営していく中で会社として出来ることが少しずつ大きくなってきています。
自分たちの街にいいものを作ったら、隣の人にも分ける、味わってもらうことをやっていかないといけません。基本的に20代は「気合」「情熱」「根性」で、30代はビジネスモデルにして発展させるのが、ここからやることかなと思ってます。

今の我々で考えられることをひたすら発展させて、いいものに磨いてく段階なのかもしれません。ここから5年ぐらいは一生懸命磨くイメージなので、しっかり育てながらいろんな所に展開していくつもりで頑張っていきたいです。

株式会社エネファントホームページ
https://enephant.co.jp/