使う電気も総天然。革榮の土に還る革製品

千葉県長生郡睦沢町にある総天然素材革工房「革榮」では自家発電した電気を使用して革製品を製作しています。代表の辻榮亮さんに、設備を導入するに至ったキッカケや背景を伺いしました。
辻榮 亮さん
総天然素材革工房 革榮

北海道旭川市出身。会社経営等の経験を経て、1人で完結できる仕事に魅力を感じ、趣味であったレザークラフトの販売を始める。

本業の傍ら、再エネ100%で事業経営を行うことを目指すReActionやEV車オーナーで構成されたEVオーナーズクラブに参画し、地球環境改善に取り組む。

革榮が総天然素材にこだわる理由

工房内に飾られている製品

革榮の特徴について伺ってもよろしいでしょうか?

総天然素材を使用して製品作りをしていることです。皮革だけでなく、接着剤や磨き材などの副資材を含め全ての原材料を天然素材から作っています。土に還すことができる地球に優しい製品であるのが自慢です。

総天然にこだわるようになったキッカケを教えて下さい

レザークラフト販売を始めた当初から、天然素材を謳っていました。しかし、ある出来事がキッカケで天然でない素材が製品に含まれていること気が付いたのです。

どんな出来事があったのでしょうか?

親しくさせてもらっていたお客さまが亡くなった際の出来事です。ご愛用されていた手帳カバーを棺に入れていただこうとした所、葬儀会社からお断りされてしまいました。理由を聞くと、革製品の中には燃えにくい難燃性の化学物質が含まれていることがあるからだと教えてもらいました。

この出来事をキッカケに革製品について改めて学び、使用する素材を見直しました。その結果「総」天然素材に行き着くことが出来たのです。

革榮さんが考える、革の魅力とはなんでしょうか?

使う人によって表情が変化する点ではないでしょうか。同じ製品でも人によって違った変化が起きるのがとても魅力的だと感じます。

エネルギーの自給自足が完成するまで

工房と同じ敷地内に建てられた自宅屋根上の太陽光パネル

エネルギーの自給自足に興味をもった教えてください

元々新しいものが好きで、EV車に興味を持ったのがキッカケです。2012年に日産がリーフの2週間試乗キャンペーンを行い、たまたま当選しました。試乗して日本全国を旅していたところ、走りが良くて尚且つ給油が不要という点が気に入って、いずれEV車に乗りたい気持ちになったのです。

その後どのタイミングでEV車を購入されたのでしょうか?

ある程度の荷物を載せられる車が必要だったので、e-NV200という商用バンをベースとしたEV車が2014年に発売されたタイミングで購入を検討しました。

荷物を載せて走る車としては割高でしたが、蓄電池の活用として考えると決して高くないと判断して2016年に購入しました。

当時から蓄電池としての活用を視野に入れられてたとは、流石ですね!

ありがとうございます(笑)。

EV車と自宅を繋ぐV2Hスタンド

今の住宅を建てられたのはいつ頃でしょうか?

2019年の夏です。もともと東京都の葛飾区に住んでいましたが、いつかは地方に移住したいと考えていました。環境に優しい自治体を探していたところ、むつざわエナジーがある睦沢町を知り移住を決意しました。

土に還る革製品をコンセプトに商売をしています。そのため工房で使用する電気は再生可能エネルギーを利用したいと思い、屋根上に太陽光パネルが敷き詰められる住宅を建てました。EV車を蓄電池として利用するためにV2Hスタンドも導入し、夜間に使用する電力もEV車から賄っています。

そうだったんですね。実際に導入されていかがですか?

V2Hスタンドを動かすのに必要な電気代以外は、全て屋根上の太陽光パネルで賄えています。EV車への充電も含まれているため、電気代とガソリン代がかからない地産地消の暮らしに満足しています。

これから「当たり前」にしたいこと

工房の外観

辻榮さんがこれから「当たり前」にしたいことは何でしょうか?

各家庭に発電設備や蓄電池、EV車が今以上に普及することを望みます。普段は電気の自給自足を行い、災害が起きた時は近隣に電気を融通できる仕組みが整って欲しいです。

これからの日本は、気候変動の影響で今まで以上に災害が増加すると思います。創蓄電設備の普及や電力融通の仕組みが整うことで、自分自身がエコな生活を送れるだけでなく、より災害に強い社会を作れたらよいと考えます。

そう思うように至った理由を教えてください

2019年の台風15号が千葉県に直撃した時の体験から大きな影響を受けています。

当時台風の影響で、千葉県の広範囲で停電が発生しました。結果的に私が住んでいる地域は2,3日で復旧しましたが、いつ電気が復旧するか分からない状況は非常にリスクを感じました。

今後の日本においては、気候変動の影響でどこに台風が上陸してもおかしくありません。費用対効果ではなく災害対策として創蓄電設備の導入が進んだらよいと思います。

総天然素材革工房 革榮ホームページ
https://www.kawazakae.com/