ユアスタンド株式会社
シンガポール出身。2008年に来日。旅行、異文化交流、言語、サステナビリティ、教育など多岐にわたることに興味を持つ。
現在はユアスタンド株式会社の一員として、脱炭素社会を実現するために電気自動車の普及に貢献している。
目次
自社開発のIOTで基礎充電に特化したサービス展開
ユアスタンドさんの事業内容について伺ってもよろしいでしょうか?
私たちは、集合住宅などに向けて電気自動車(EV)の充電器導入と自社開発のアプリとシステムによる運用を取り組んでいる会社です。現在はマンションを中心に導入を進めておりまして、現地調査から提案、補助金の代行申請から設置までトータル的にサポートをしております。
電気自動車の充電は現在どのような場所で出来るんでしょうか?
街の中ですと自動車の販売店や道の駅など様々ありますが、携帯と同じで自宅で充電するのが一番いいですよね。毎年発行されているGlobal EV Outlookという調査があります。Global EV Outlookによると世界中のEV利用者の8割以上は自宅で充電しているとのことでした。家で充電出来ないととなかなかEVを買おうとしないのが日本での現状かなと思っています。つまりは、自宅で充電することが大前提で経路充電も大事ですが、やはり基礎充電あってこそではないでしょうか。
基礎充電と経路充電は何が違うんですか?
商業施設や高速道路などを代表とする公共の場と自宅や集合住宅などの非公共用の場所に分けられます。その中で基礎充電は、長い時間滞在する家や職場になり、EV充電の9割は基礎充電で行われています。経路充電や基礎充電の他にも宿泊施設や商業施設における目的地充電があります。
ユアスタンドさんに問い合わせをされる方はどこに魅力を感じていらっしゃると思いますか。
強みの観点ですと、運用まで出来るのが弊社の特徴だと思います。弊社が開発したアプリで充電器の予約から、利用明細の管理まで一括で可能です。
また、管理者向けの専用システムも用意しており「いつ」「誰が」「どのぐらい」使っているかが分かります。弊社としてもシステムの導入から運用までトータル的にサポートしています。他にも特徴としてマルチチャージングコントロール(MCC)を導入しています。
複数EVの同時充電を可能にするマルチチャージングコントロール
MCCとはどのようなシステムなんでしょうか?
例えば容量が60アンペアだとして、1個の充電器がだいたい20アンペア使うとします。最大3台まで同時充電が出来ますが、この状態ですと本来なら4台目が入ったらブレーカーが落ちしてしまいます。弊社のMCCの制御により、4台目のEVはすぐに充電出来ないですが、次に空いている時間帯で予約をしていただければ、1台目の充電が終わると、4台目の充電が自動的にスタートします。
お客様の中では、駐車場の全区画にコンセントを設置されるご要望もあります。プラグを差し込んで予約すれば、あとはもう順番待ちで充電が可能な仕組みが作れます。
共用部ですと、充電の度に時間を見て車を移動させるのは少し手間かもしれませんね。
もちろん共用部への設置も可能ですが、自分の区画で充電を希望される方が多いと聞きます。
導入にあたって何か課題となるポイントでどういったものがあるかお聞きしてもいいですか?
「設置場所」「電源」「運用方法」「合意形成」の4つが挙げられます。
合意形成はマンションの場合、理事会や総会が意思決定の場になります。EVに乗っていない方にいかに理解してもらうか?が大きい課題となります。信頼関係を築けるよう私たちとしても丁寧に長期でお付き合いさせていただいています。
クリーンな移動を目指して
ユアスタンドさんの創業のきっかけについてもお聞きしてよろしいでしょうか?
代表の浦は元々法人向けIT、ネットワークサービスの営業や、新しいソフトウェアサービスの立ち上げなどで幅広く活躍していました。2011年に起きた東日本大震災の1週間後、会社の先遣隊として石巻、女川に派遣されました。女川の被災状況を直接目にしたことに加え、福島の原発事故もあって、エネルギー問題とや環境問題を考えるようになったんです。
まず1つの行動として浦がしたことは、電気自動車に乗り換えることでした。
ただマンションに住んでいたので、充電がとても不便でした。しかも、マンションに設置する場合は住民の同意を得る必要があったんです。管理組合に提案してから、さらに住民総会で合意形成を図るので非常に大きい課題でした。この課題があると、いつまでたっても普及する可能性は低いと思い、自分で解決しようと思ってユアスタンドを立ち上げました。
この事業をやっていて良かったなと思う瞬間やエピソードはありますか?
マンションに充電器を設置した後、EVに乗り換えた人が増えた時が一番嬉しいですね。要は弊社の取り組みを経て、世の中にEVが増えたことだと思っています。充電出来ない状態だとなかなか購入までにハードルがあるんじゃないでしょうか。
また、将来性のある事業だと思っています。日本に限らず世界でも通用する事業で、最近は海外の会社からもお話をいただいたりするので可能性を感じています。
ユアスタンドさんとして、今後実現したいことはありますか?
私達としては、クリーンな移動を目指しています。2020年日本政府は「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言されました。電気自動車の充電サービスを提供しているユアスタンドにとっても、これからが大きな転換期になると思います。
しかし、EV先進地域である北欧、欧米、中国と比較すると日本は動きが鈍いかもしれません。日本はいまだにエネルギー源の75%を火力発電(石炭、石油、天然ガス)に頼ってるのが現状です。かつ、EVを製造する段階ではガソリン車より二酸化炭素を排出もしています。
ただ大事なのは、今の日本を見るのではなく、これからを見据えることが大事ではないでしょうか。エネルギー業界は常に進化を遂げており、再生可能エネルギー、自然エネルギー、クリンエネルギーは速いスピードで普及しています。私たちとしても電気自動車普及のため、マンション以外のオフィスビルや商業施設など様々な場所に充電器の設置を考えています。そして「移動をもっとクリーンに」する世の中を目指していければと思います。
※記事内の画像はユアスタンド様の資料より抜粋しています。
ユアスタンド株式会社ホームページ
https://yourstand-ev.com/