家庭用蓄電池とは?設置してソーラーパネルと併せて災害に備える。後悔しないおすすめの選び方もご紹介
太陽光発電システムと比べると注目度の低い蓄電池ですが、実は導入により大きなメリットを得られるということをご存知ですか?
太陽光発電システムの設置を検討し見積もりをとった場合、蓄電池を勧められることがあります。しかし「良さがよく分からない」、「特に不便でないため必要性を感じない」という理由で蓄電池の設置を断ってしまう人は少なくないでしょう。一方で、急な災害による停電が起きた場合などの際、「あの時に蓄電池も入れておけば……」と後悔する人も少なくないようです。
今回は、ソーラーパネルとセットで使う家庭用蓄電池や、太陽光発電に家庭用蓄電池を使用するメリット・デメリット、さらにソーラーカーポートと家庭用蓄電池の設置例などをご紹介します。太陽光発電システムの設置を検討中の人はぜひ参考にしてみてください。
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目次
家庭用蓄電池とは?
家庭用蓄電池は大きく2種類×2種類、計4種類に分けることができます。
ここでは、家庭用蓄電池の種類や蓄電池購入を検討するときに役立つ家庭用蓄電池の種類から充電した電気の使い道、蓄電池の容量などを詳しく解説します。
家庭用蓄電池の種類は2種類×2種類!
1. 家庭用蓄電池のタイプは2種類
家庭用蓄電池のタイプは大きくハイブリット型と単機能型の2種類に分けられます。
ハイブリッド型
- 太陽光パネルのパワーコンディショナと蓄電池のパワーコンディショナ両方の機能を一つのパワーコンディショナでまかなえるタイプ。
- 太陽光がついている住宅でもパワーコンディショナは一つで済む。
単機能型
- 蓄電池のみのパワーコンディショナが必要。
- 太陽光がついている住宅だとパワーコンディショナは二つ必要になる。
※パワーコンディショナとは、太陽光で発電した直流の電気を家庭の電気機器などに使えるよう交流へ変換するための機器のこと。
2. 家庭用蓄電池で充電した電気の使い道は2通り
家庭用蓄電池で充電した電気は特定負荷型と全負荷型によって使える範囲が異なります。
何のために蓄電池を導入するのか、どのくらいの電力が必要なのかを予め確認しておくと良いでしょう。
特定負荷型
- 設置時に予め決めたエリアだけ電気を供給できる。
例)1階のリビングとキッチンとトイレのみに使用すると決めていた場合、停電した際にキッチンの冷蔵庫やリビングの照明には電気を供給できるが、2階の照明をつけることはできない。
全負荷型
- 家全体の電力をカバーできる。
- 設置時に電気を使用するエリアを選択する必要がない。
3. 家庭用蓄電池の容量
スマホやノートパソコンのバッテリー容量が大きければ大きいほど、長時間使い続けられるのと同様に、家庭用蓄電池の容量の大きさは、家庭用電気機器を使える時間にかかわってきます。
当然、使用する機器の消費電力が大きいほど、使用可能な時間も短くなります。
一般的に家庭で使われている家電の電気使用量の目安として以下を参考にしてみてください。
- 冷蔵庫 200W~
- 洗濯機 500W~
- 炊飯器 400W~
- 液晶TV 150W~
- プラズマTV 240W~
- 扇風機 34W~
- 電磁調理器 1200W
- トースター 1200W
- エアコン 1500W
- 電子レンジ 1300W
- ドライヤー 1300W
家庭用蓄電池のメリット
家庭用蓄電池のメリットとして以下3つが挙げられます。
- 自然災害時や停電時にも電気が使える!
- エネルギーを効率的かつ経済的に使用できる!
- 電気自動車(EV車)の燃料にも!!
では、それぞれのメリットについて具体的に解説していきましょう。
1. 自然災害時や停電時にも電気が使える!
停電時にも電気が使えるというメリットは、自然災害の多い日本において大変重要な意味を持ちます。
地震や洪水をはじめ、自然災害が起きた際、蓄電池へ電気を充電しておけば、非常時に電気を使えます。実際、ここ数年日本各地で起きる自然災害をきっかけに蓄電池への注目度は高まっているようです。
2. エネルギーを効率的かつ経済的に使用できる!
エネルギーを効率的・経済的に使えるというのも見逃せないポイントです。
電気代が割安な深夜帯に電気を貯めておき、反対に電気代が割高な日中に貯めた電気を使えば、電力の消費を抑えつつ、電気代を削減できます。また、電気容量が大きく、ソーラーパネルなどで発電していると、日中に余った電気を夜に使うことも可能です。
3. 電気自動車(EV車)の燃料にも!
電気自動車(EV車)との相性が良いというのも、今後電気自動車に乗り換えようと考えている人にとっては特にうれしいメリットではないでしょうか。
現在、政府は2030年の次世代自動車普及目標に向けて、EV/PHV購入・保有への支援をしています。現在、電気自動車(EV車)をお持ちの方だけでなく、今後に乗り換える可能性がある方は、予想以上に増えていくのかもしれません。
最近では、蓄電池に貯めた電気を電気自動車(EV車)の燃料として使用することできる製品も登場しています。
家庭用蓄電池のデメリット
家庭用蓄電池のデメリットは大きくわけて3つです。
- 導入・メンテナンス費用がかかる
- 置く場所が限定される
- 貯められる電気は無限ではない
では、デメリットについても一つずつ詳しく解説します。
導入・メンテナンス費用がかかる
これは家庭用蓄電池を導入するなら避けられないものと考えましょう。例えば、家庭用蓄電池を購入する際にかかる初期費用に加え、長年の使用による経年劣化対策で蓄電池を交換する際にも費用が必要です。
置く場所が限定される
蓄電池のサイズは幅100cm、奥行き30cm、高さ120cmほどが目安となっており、決して小さくありません。そのため、設置場所の確保が必要です。また、設置する環境は高温や低温になり過ぎず、結露しない場所が望まれます。
自由に移動させることが可能なポータブル型もありますが、ポータブル型はあくまで非常時の利用を想定して作られています。
あまり蓄電容量が大きくなく、「電気料金の削減」や「非常時の家庭内電気製品利用」には適していないため、目的に応じてご検討ください。
貯められる電気は無限ではない
貯められる電気は有限であるということ。蓄電池=無限に電気を蓄えられるものと勘違いしてしまいそうですが、そうではありません。
蓄えた電気も使えば減りますし、蓄電池の容量が違えば蓄えられる電気の量も異なります。大切なのは非常時に使える電気をしっかりと充電しておくことです。
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太陽光発電なら災害時にも安心
家庭用蓄電池のメリットとデメリットを紹介しましたが、家庭用蓄電池はソーラーパネルとセットにすることでさらにメリットを実感できます。ここでは、ソーラーパネルと家庭用蓄電池をセットにすることで得られるメリットを具体的に見ていきましょう。
ソーラーパネルと家庭用蓄電池のセットでできること
ソーラーパネルと家庭用蓄電池をセットにするべき理由の一つは、選択肢が増えるからです。
例えば、ソーラーパネルだけを設置した場合、発電した電気は「使う」か「売る」かの2択でした。
そこに、家庭用蓄電池を導入することで、「貯める」という選択肢が生まれます。
エネルギー効率のアップ
具体的なメリットとしてまず挙げられるのが、エネルギー効率のアップです。
蓄電池の容量が大きければ、昼間に発電した使い切れない電気を夜や朝に使うことも可能。また、固定価格買い取り期間が終了した後も、太陽光発電の電気を自家消費できます。
セットの利用で停電や災害時も電気を使える
ソーラーパネルと家庭用蓄電池をセットで使用すれば、停電や災害によって電気供給がなくなったときにも電気を使用できます。夜間に停電が起きた際、自家発電で貯めておいた電気を使えるというのは大きなメリットです。充電した電気はスマホの充電やテレビ・ラジオの使用などに活用できます。
これが、「ソーラーパネルは設置しているが家庭用蓄電池はない」となると話は違います。
蓄電池がなければ、発電した電気を貯めておくことができないため、日中発電している間しか電気を使えません。天気が良くなければ日中の発電量も少なくなりやすいです。停電や災害が起きた時こそ、ソーラーパネルと家庭用蓄電池がセットであると安心です。
ここがポイント!ソーラーパネルと蓄電池のおすすめの選び方
ソーラーパネルの発電量や発電効率、家庭用蓄電池の容量や設置場所は、購入する前に絶対に調べておきたいポイントです。
1. ソーラーパネルを選ぶ時の基本ポイント
最初のポイントは「kW単価」を理解すること。
見積もりを取る時によく出てくる「kW単価」は、太陽光発電システムの合計金額を発電量で割った数値を指します。
「kW単価」が安ければ割安ということになりますが、保証やアフターケアが充実しているかどうかも忘れずチェックすることが大切です。
蓄電池の選び方についてはエネがえ
2. パワーコンディショナの変換効率とソーラーパネルの発電率
パワーコンディショナの変換効率は、メーカーによってあまり大差はありません。
代わりに、小さな面積で多くの電気を発電できる「発電率」が高いソーラーパネルを選ぶと良いでしょう。
3. 家庭用蓄電池を選ぶときの基本ポイント
家庭用蓄電池を選ぶときには設置場所の確認を怠らないようにしましょう。
決して小さくないうえに、設置場所の条件が細かく決まっている場合があります。購入後に「適切な設置場所がない」なんてことにならないよう、事前の確認が必要です。
4. 災害を想定してソーラーパネルと家庭用蓄電池を選ぶ際のポイント
はじめに考えるべきことは、家庭用蓄電池がどのくらいの電気を蓄電できるかということ。
災害時や停電時に家のどのエリアまでをカバーしたいのか、そのためにはどのくらいの電気が必要かを知り、その上で対象となる蓄電池の容量と必要な電気容量のバランスを確認しましょう。
5. ソーラーパネルと家庭用蓄電池はセットで設置がおすすめ
ソーラーパネルと家庭用蓄電池を一緒に設置するのがおすすめである理由として、工事費を抑えられる点が挙げられます。実際に、別々で設置した場合は工事費が別々にかかってしまいますが、セットで設置することで工事費は1回分で済みます。
また、ソーラーパネルの仕様によっては、後から蓄電池を導入するのが難しく設置できないこともあるため、最初にセットで設置しておくほうがお得です。その場合、パワーコンディショナがハイブリッド型のものを選ぶことで、さらにコストパフォーマンスのメリットを実感できるでしょう。
6. 見積もりは複数社から
ソーラーパネルや蓄電池は、いわば高額の買い物。そして、10年、20年と長きに渡って使うものです。
そのため、見積もりを出す時は複数社にお願いし、納得できる会社と契約することが重要です。その際、できるだけ工事後の保証についてもクリアにし、長く付き合える会社を選ぶのがポイントです。
ソーラーパネルと家庭用蓄電池の設置例
ここまで家庭用蓄電池そのもののメリットやデメリット、ソーラーパネルとセットで設置すべき理由をお伝えしてきましたが、実際にソーラーパネルと家庭用蓄電池を一緒に設置した場合の例をご紹介します。
設置スペースはハイブリットパワーコンディショナが解決!
ソーラーパネルと一緒に設置する家庭用蓄電池は、設置条件に以下のような制限があります。
- サイズ目安がおよそ幅100cm 奥行30cm、高さ120cmと大きいため場所を選ぶ
- 高温や低温になりすぎず、結露しない場所に置かなくてはならない
上記の制限に加え、ソーラーパネルと蓄電池にそれぞれパワーコンディショナの設置が必要なため、設置スペースの確保に意外と骨を折る人も少なくありません。
そのようなときはハイブリッド型のパワーコンディショナを設置すれば、ソーラーパネルと蓄電池、両方の制御を1台で行ってくれるため、スペースを確保しやすくなります。
ソーラーカーポートと家庭用蓄電池をセットで設置
ソーラーパネルを設置したくても、自宅の屋根の向きや大きさ、構造によっては太陽光パネルの設置が難しい、すでにソーラーパネルは設置しており屋根にスペースがない、車を持っているが駐車スペースの屋根がデッドスペースになっているなどの場合にはソーラーカーポートの導入も検討してみてはいかがでしょう。
ソーラーカーポートだけを導入しても自家消費や売電に役立ちますが、あわせて家庭用蓄電池も設置しておけば、平常時は電気代が高額な時間帯のフォローに、災害時は非常用電源として活用できます。
ただし、ソーラーパネルを屋根に設置する場合とは異なり、ソーラーカーポートの新設には、建築確認申請が必要となります。導入の際には法的手続きにも詳しい販売会社に依頼をすると安心ですね。
長い?短い?ソーラーカーポートの工事期間
ソーラーカーポートを設置する際、費用や機能と同様に工事期間についても気になるという人が多いのではないでしょうか。
例えば、2台用のソーラーカーポートの場合、工事期間は3~4日ほどでしょう。
具体的な流れとしては以下を参考にしてみてください。
【基本的な流れ】
1日目:基礎部分を掘削しカーポート架台の組み立て、残土処分。
2日目:基礎部分に生コンを流す(規格があり強度・混ぜ方あり)(基本的に1週間ほどあけます)
3日目:パネル設置、電気工事
4日目:予備日
上記はあくまでも目安です。設置する家の環境によっては工事期間が長くかかることがあるので、見積もり時に確認するようにしましょう。
ソーラーカーポートの設置費用
では、実際にソーラーカーポートの設置にいくらほどかかるのでしょうか。ここでは、2台用、3台用、4台用のカーポートの設置費用例を紹介していきます。
大きさ | 発電量 | 価格 | |
---|---|---|---|
2台用 | 幅:5.2~6.9m 奥行:4.5~6.2m |
3.7~7.3kW | 180~240万円 |
3台用 | 幅:8.3~8・7m 奥行:4.5~6.2m |
6.1~9.2kW | 250~300万円 |
4台用 | 幅:10~12m 奥行:5.0~6.2m |
9.2~12.8kW | 300~380万円 |
ソーラーカーポートの工事費用は設置する場所の状況によって変動します。上記の数字はあくまでも参考値として考えましょう。確実な設置費については、販売会社に見積もりを依頼して確かめてください。
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まとめ
家庭用蓄電池や、ソーラーパネルとの併用について解説してきました。
- 家庭用蓄電池には、設置方法やパワーコンディショナの数、電気の使える範囲などが異なる4種がある
- 家庭用電池のメリットは、停電時に電気が使えることや、電気を効率よく使うことで電気代が抑えられること、電気自動車と相性が良いことです。
デメリットは、導入費用やメンテナンス費用がかかることや、置き場所が限定されること - 太陽光発電と家庭用蓄電池を併用する最大のメリットは、災害時や停電時に電気が使えること
- 家庭用蓄電池やソーラーカーポートを設置する際には、費用だけでなく蓄電池の容量や工事期間、アフターサービスなどもチェックすることが重要
YouTubeでも動画にて蓄電池の基本について解説しています。よければご覧ください。
「ソーラーカーポートの設置を検討している」「災害時に備えた自家発電に興味がある」という人は、ぜひ家庭用蓄電池の導入も検討してみてください。
また、設置や価格など、不安になる点や疑問点については「よくある質問」をまとめておりますので、こちらもご参考にしていただければ幸いです。
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