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【2023年版】ソーラーカーポートの法人向け補助金まとめ

脱炭素化や電気代の削減などを目的に、駐車場を有効活用して太陽光発電できるソーラーカーポートが注目されています。ソーラーカーポートの導入にはコストがかかりますが、各種補助金を活用すれば負担を軽減することが可能です。今回は、2023年時点での法人向け補助金情報や活用事例などをご紹介します。

ソーラーカーポートとは

ソーラーカーポートは、カーポートの屋根の部分に太陽光パネルを設置した車庫です。駐車場の上というデッドスペースを有効活用しながら、電気代やCO2排出量の削減、災害対策といった太陽光発電のメリットを得ることができます。

昨今では、脱炭素化や電気代の削減などを目的に、法人がソーラーカーポートを導入する事例が増えています。しかし、ソーラーカーポートの導入には数百万円単位の高額なコストがかかるため、検討のみで終わっている法人も多いでしょう。そのように、コスト面がネックとなってソーラーカーポートを導入できていない場合は、後述する補助金を活用するのがおすすめです。

ソーラーカーポートで活用できる補助金

2023年現在で、ソーラーカーポートの導入時に活用できる補助金はあります。建物の屋根などで行う一般的な太陽光発電に比べるとまだまだ種類が少ない状況ではありますが、2021年頃からソーラーカーポートのみを対象とした補助金制度が始まりました。

補助金は、国(環境省)が出すものと地方自治体が出すものの2種類に大きく分けられます。ソーラーカーポートの導入件数が増えていることもあり、公募が殺到して早期に終了してしまうケースが多いです。ソーラーカーポートの導入時に補助金を活用したい場合は、早めに行動するようにしましょう。

【環境省】二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金

ソーラーカーポートを対象とした補助金の中で最も知られているのは、「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」です。こちらは環境省が提供する補助金で、2023(令和5)年度の執行団体は一般社団法人環境技術普及促進協会となります。

二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金にはいくつか種類があります。民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業のうち、新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業の「再生可能エネルギー事業者支援事業費(ソーラーカーポート)」が法人向けの補助金として活用可能です。ここからは、補助金の内容を要約してご紹介します。

事業概要

新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業の目的は次の通りです。

  • 地域の再エネポテンシャルを有効活用するため、地域との共生を前提とした上で、新たな手法による太陽光発電の導入・価格低減を促進する
  • 再エネ熱利用、未利用熱利用、自家消費型再エネ発電等の導入・価格低減を促進する

事業内容の一つに「建物における太陽光発電の新たな設置手法活用事業(補助率1/3)」があり、駐車場を活用した太陽光発電(ソーラーカーポート)について、コスト要件を満たす場合に設備等導入の支援を行う、と定められています。

対象事業の要件

公募対象となる事業には、次のような要件が定められています。

  • 駐車場を活用した自家消費型太陽光発電設備(ソーラーカーポート)の導入を行う事業であること
  • ソーラーカーポートによる発電量の50%以上を導入場所の敷地内で自家消費すること
  • 「(太陽光発電設備等の補助対象経費)×2/3÷(パワーコンディショナの最大定格出力)」が10kW未満で27.25万円/kW、10kW以上50kW未満で26.44万円/kW、50kW以上で17.84万円/kWを下回ること
  • パワーコンディショナの最大定格出力の合計が5kW以上で、積載率(太陽光発電モジュール容量÷パワーコンディショナの最大定格出力)は1以上であること
  • 停電時に電力供給可能とするシステム構成であること
  • FIT・FIPによる売電や、自己託送を行わないこと
  • 本事業によって得られる環境価値のうち、需要家に供給を行った電力量に紐づく環境価値を需要家 に帰属させるものであること

補助対象設備

補助対象となる設備を次の表にまとめています。設備自体の費用だけでなく、設置工事費も補助対象経費となります。

太陽光発電一体型カーポート 太陽光発電モジュール一体型カーポート、基礎、接続箱、パワーコンディショナ、配線
太陽光発電搭載型カーポート 太陽光発電モジュール、架台、カーポート(太陽光発電モジュールの土台となるものに限る)、基礎、接続箱、パワーコンディショナ、配線
定置用蓄電池 業務・産業用の蓄電システムで4800Ah・セル以上の場合、工事費込みの目標価格が16.0万円/kWh以下であること
車載型蓄電池 外部給電が可能な電気自動車またはプラグインハイブリッド自動車で、充放電設備と同時に導入するもの
車載型蓄電池の通信・制御機器
車載型蓄電池の充放電設備または充電設備 駐車場を利用する電気自動車に電力を供給するもの、またはその電気自動車から施設に電力を供給するもの

補助金の交付額

上述した補助対象設備の導入にかかる経費に対して、環境省からの補助を受けられます。補助率は対象経費の1/3(上限は1億円)です。

ただし、車載型蓄電池に対する交付額は「蓄電容量÷2×4万円(上限は車両によって異なる)」、充放電設備および充電設備に対する補助率は1/2となっています。

補助対象者

補助対象者は、以下に記載した事業者のうち、補助事業を確実に遂行できる経営基盤があって事業の継続性が認められる者とされています。

  • 民間企業
  • 独立行政法人
  • 地方独立行政法人
  • 国立大学法人・公立大学法人・学校法人
  • 社会福祉法人
  • 医療法人
  • 特別法の規定にもとづいて設立された協同組合など
  • 一般社団法人・一般財団法人・公益社団法人・公益財団法人

環境大臣の承認を得て協会が適当と認める者

公募期間

2023年4月時点での公募期間は次の通りです。

  • 一次公募:2023(令和5)年3月31日(金)から4月26日(水)17時まで
  • 二次公募:2023(令和5)年5月19日(金)から6月15日(木)17時まで

ただし、二次公募は応募状況によっては実施されない可能性があります。2022年度は当初四次公募まで実施予定となっていましたが、最終的に三次公募までで終了しました。2023年度も早期に終了してしまう可能性が高いので、早めに公募するようにしましょう。

補助金対象事業の選定ポイント

補助金は公募すれば確実に採択されるわけではありません。申請書類などの内容から以下の項目を総合的に評価した上で、優れた事業のみが予算の範囲内で選定されます。公募する際には、必須項目を確実に満たした上で、加点項目を積極的にアピールしましょう。

必須項目 ・事業の実施内容や実施計画が事業目的に合致し、実現可能であること
・事業に必要な能力および実施体制を有しており、事業を確実に実施できる経理的基礎(または資金調達計画)を有すること
加点項目 ・事業による直接的なCO2削減の費用対効果が高いこと
・事業によるCO2削減率が高いこと
・再生可能エネルギーの自家消費比率が大きいこと
・定置用蓄電池や車載型蓄電池を導入する場合に、災害時に太陽光発電の電力が地域で活用できること
・RE100、再エネ100宣言RE Action、Science Based Targetsの推進に貢献するものであること

 

なお、地球温暖化対策推進法で規定された地域脱炭素化促進事業の促進に関する事項を地方公共団体実行計画にすべて定めた市町村の促進区域内で実施される場合は、優先的に採択されます。

ソーラーカーポートの補助金活用事例

環境省は「ソーラーカーポート等の新たな自家消費型太陽光等の導入支援事業に関する優良事例」を公表しています。実際に補助金を採択された法人がどういった事業に取り組んでいたのかをまとめてご紹介します。

ワクラ村田製作所カーポート型太陽光発電設備導入事業

石川県七尾市を所在地とする株式会社ワクラ村田製作所は、脱炭素社会の実現と気候変動によるリスク管理の観点から、再生エネルギーの拡大を推進しています。同社の工場敷地内にある約200台分の駐車場にソーラーカーポートを導入し、発電した電気をすべて自家消費することで、日中の工場稼働時における再エネ消費比率を0%から21%まで高めました。本事業は、近隣小学校における環境教育の一助とすることや、他の事業所への横展開を図ることも副次的な目的であったといいます。

松本歯科大学 ソーラーカーポート導入事業

長野県塩尻市を所在地とする学校法人松本歯科大学は、将来的に「自然エネルギー100%」となることを目指してソーラーカーポート事業に取り組みました。506台分の駐車場にソーラーカーポートを導入し、発電した電気をすべて自家消費することで、日中の稼働時間における再エネ消費比率を0%から42%まで高めました。さらに、ソーラーカーポートと同時に導入した蓄電池と自立運転型パワコンによって、災害時などには地域への電力供給も可能にしています。

宿泊施設付きゴルフ場の駐車場を利用した蓄電池付きソーラーカーポート事業

茨城県常陸太田市を所在地とするリソル土地開発株式会社は、同社グループが運営する宿泊施設付きゴルフ場の駐車場にソーラーカーポートを導入しました。発電した電気をすべて自家消費することで、日中の稼働時間における再エネ消化比率を0%から17%に高めるとともに、カーポートの新設によって雨天対応などのお客様の利便性向上を実現できたといいます。また、本事業で導入したソーラーカーポートと蓄電池は、災害時における携帯電話の充電用としての活用も検討されています。

PPAモデルの活用もおすすめ

ソーラーカーポートを対象とした補助金はまだまだ少なく、上述した二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金においても公募が殺到して早期に受付終了となる、比較的大規模な事業が採択されやすい、といった課題があります。こうした背景から、ソーラーカーポートの導入時に補助金を活用できる法人は限られているのが現状です。

もし補助金の活用が難しい場合は、PPAモデルの活用も検討してみるとよいでしょう。PPAモデルは初期投資やメンテナンスの手間なくソーラーカーポートを導入できる法人向けサービスで、法人側は自社で使用した分の電気代をPPA事業者に支払う仕組みになっています。導入したソーラーカーポートは自社の所有物にはなりませんが、電気代やCO2排出量の削減、災害対策といった太陽光発電のメリットを十分に得ることが可能です。

まとめ

ソーラーカーポートのニーズは年々高まっており、国や地方自治体も補助金によって導入を支援しています。補助金以外にも、PPAモデルのようなサービスを活用すればコスト面での負担を抑えてソーラーカーポートを導入することが可能です。自社の事業規模や各種条件を総合的に見ながら、補助金やPPAモデルを積極的に活用してください。

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